【導入事例 Vol.46】
岡山大学 助教 田中 健人様
■経歴
2021年3月、名古屋大学大学院 工学研究科 航空宇宙工学専攻を修了。同年4月から岡山大学 工学部に助教として赴任。流体力学研究室で「衝撃波と乱流の干渉」について研究、学生の指導にあたっている。
■先生の研究について教えてください。
専攻は航空宇宙工学で、なかでも流体力学の「衝撃波と乱流の干渉」について研究しています。超音速で航空機が飛行する際、前方の流体が圧縮されて衝撃波が発生し、それが地上に達すると花火のような爆発音が起こり、騒音問題につながります。そのメカニズムを解明するため、上空で発生した衝撃波が伝播する過程で大気の流れと干渉すると、どのような特性変化が起きるかを調べています。
「実際に風を起こして大気の流れを再現する」研究と「コンピューター上で大気の流れを再現する」研究の二つの手法があるのですが、私は後者の、コンピューターによる「流体の数値シミュレーション」が専門です。まずはどこでどのような騒音が起きるのかを調査し、将来的には航空機の騒音防止や超音速旅客機の開発、運用に提言していくことが目標です。
■コンピューターが欠かせない研究ですが、NASを導入した経緯は?
岡山大学に赴任してから、ニューラルネットワークのデータ解析を始めていて、私だけでなく、研究室にも同じ研究をしている学生がいます。数値シミュレーションのデータを学習させ、最終的には実験データに当てはめていきたいのですが、大前提として多くのデータを扱うことになり、それらを保管しておく大容量のストレージが必要でした。
また、今までは、数値計算を行う学生からニューラルネットワークの解析を行う学生にデータを渡す際、HDDでやりとりをしてきました。これが結構、時間と手間がかかり、HDDの購入も頻繁になりますから、ダウンロードしてNASに入れてくれさえすれば、あとは学生同士が共有できる状態にしたかったのです。データに不具合があってもNAS上でチェックできるのでHDDを抜き差しする手間も省けます。そのように研究室内でのデータの共有をスムーズにしたかったというのも導入のきっかけですね。
大容量でデータの共有がスムーズになるうえ、拡張もできるので、NASが1台あることで研究室全体のデータが集約できると言えますね。
■導入前に不安だったことはありますか?
カタログを定期的に研究室に届けてくださっていたので、他の先生とも相談して、カタログ内で紹介されていたNASを導入することにしました。急な導入だったのですが、説明も丁寧にしていただけてよかったです。
できれば設定とかはお任せしたいほうなので、初期設定して納品していただけるのはありがたかったです。運用はこれからですが、道具であるコンピューターに不具合が出ると研究に専念できません。ですから、メンテナンスについてもすぐ対応していただけるようなので助かります。
■今後のNASの活用についてはどのようにお考えですか。
かなりの数のデータを扱うニューラルネットワークのような解析では、専用のマシンが増設できればより多くのデータ解析が可能になります。データをため込んでおくだけでは無駄になるので、それを解析するマシンも増やしていかないといけないと思っています。
学生による運用についても、簡単にほかの人のデータにアクセスできるようになるので、間違ってデータを消すなどといったことがあってはいけませんが、それぞれが使い方をわきまえておけば大丈夫でしょう。むしろデータがオープンになれば新たな解析が進み、データサイエンスという意味ではプラスになることもありそうです。
日々データサイエンスの技術が向上し、データ解析を扱う研究はどんどん進化しています。その研究結果は今後ますます私たちの日常生活で活用されていくでしょう。そう考えると、大容量のデータが保管できて共有もスムーズになるNASは、研究者にとってはありがたいツールですね。